列島横断

ノリさんの直江津行  2005/08/17 江戸川〜直江津320km自転車の旅


◇レポート◇
列島横断の旅、以前からいつか実行してみたいと思っていましたが、忙しい事(本当のところは勇気と決断力の欠如かも…)を理由に実現する事ができませんでした。
夏期休暇を利用してトライしてやろうと思いたったのは千葉外房往復220kmを走り終えた事からでした。220kmを走ってみて疲れもなく楽に走れた事からです。
しかしながらいざ決行となるといろいろな不安が頭の中に溢れ出し、めげてしまいそうになる思いを、周囲の人達に計画を話し、自分自身にプレッシャーをかける事でなんとか実行に漕ぎ着けました。
毎年ウキウキな気分で迎える夏休みも今年は大きな課題を抱え素直には喜べない思いでした。

装備完了。いざ出発!

小松川橋を渡る
今回もロードレーサーではなく、快適にリラックスして行く事を第一に考え、軽さ・快速走行性能よりも、クロモリ26×1.25のタイヤの優しい走行性・疲れないフレームジオメトリーで安定性快適性を考えてサーリーのロングホールトラッカーにしました。<BR>
実行するに当たって先ず初めに、「外房220km」の走行時のデータを元に平均速度を算出しました。平均速度20km。これで距離320kmを割ると16時間。実走16時間・食事休息に2時間をみて、総走行時間18時間、日没が19時として到着を19時に設定して逆算して出発時間を午前1時にしました。

夜更けの岩淵水門

コンピュータの電池を買う
前夜6時に寝るつもりが準備やらで結局8時を過ぎてから就寝。午前0時半に目覚ましで起こされる。ウトウト熟睡はできなかったけれど、身体はそれなりに休めた気がして軽く感じました。
1時に出発です。まだ起きてた息子に「行ってらっしゃい」と見送りの言葉をかけられていざ出発。
荒川河川敷のサイクリングコースを戸田橋まで行くつもりで、小松川橋より河川敷のサイクリングコースに下りる。走ってみて分かった事は夜のサイクリングコースは街灯も無く真っ暗だった事です。センターラインがライトに照らされ白く仄か見えるのを頼りに走る。これが凄く神経を使う事が分かり上がって街道を走る事にする。

青みを帯びてきた空

夜明け近し
街道を走ってふと気が付くとサイクルコンピュータが作動してない。今まで支障なく作動していたはずなのにこんな大切な時に限って故障とは… センサーの位置を確認後一応動作するが直ぐに0km/hの表示。電池切れと思い近くのコンビニに寄りセンサーと本体、両方電池交換する。がしかし改善されない。もう30分も時間をロスしているので諦めて出発する事にしたが、最後にもう一度今まで動作していた時と何か違うかを整理して考え直す。今までと違うのはガーミンのGPSを取り付けてる事くらいである。もしやこれがサイクルコンピュータの電波を妨害しているのでは… 予想は的中。取り付け位置を変更したらバッチリ作動しました。これでスッキリ解決!携帯GPSが電波妨害になる事をお勉強しました。
ザ・ライジングサン

コンビニで休息
30分以上ロスして国道17号を北上する。夜更けで交通量の少ない街並みを快適に飛ばす。浦和・大宮・上尾を過ぎ、行田市あたりでうっすらと空に赤みが差してくる。
ここから17号熊谷バイパスの方向に入る。バイパスは大型トレーラー等、運輸関係の車両が多く何度か危険な思いをした。暫く走ると日の出を迎えた。綺麗な空だ。こんな空が見れて心が和む。暫く走り深谷市あたりで補給&休憩。このコンビニには休憩用のテーブルが備え付けられていてゆっくりと休息ができてありがたかった。

神流川

高崎観音
高崎目指して出発。深谷バイパスと17号が合流し高崎まで20km。神流川を渡り暫く走ると17号は烏川と併走する。この道も車が多くて注意が必要だけど、周りの景色から関東平野を抜け山岳に向かって行くという感じを覚えて気分も悪くない。
走り続けて行くと左手に高崎観音が見えてくる。ここを過ぎると左折して18号に入る。18号に入ると交通量も少なくなりかなり走りやすくなる。
安中市に入りの山肌に建つ精錬所の施設が異様に見える。8時前にコンビニで補給&休息。気温も上がってきて、補給に摂ったエネルギーゼリーパックもどきの飲むタイプのアイスクリームが美味かった。お尻がやや痛い… 

安中市

安中榛名
コンビニ出発してから1時間程走ると横川市に入る。緩い上り坂を上って行くと右手に大きな看板が目に入ってくる。峠の釜飯で有名な「おぎのや」に到着。せっかくなので名物釜飯で早めのお昼食を摂る事にする。釜飯となめこ汁をいただく。ここまで走ってエネルギーの消耗も多い筈なのに、なぜかお腹が空いていない。全部食べきれるかと思いきや、食べ始めたとたんに急激に空腹感に襲われ夢中で平らげてしまった。でも食べる前にしっかり忘れずに写真撮りました。
上信越道ができる前、車が溢れる程繁盛していた記憶が蘇りちょっと寂しく思ったのでした。

横川(釜飯の看板)

峠の釜飯!おぎのや

名物釜飯&なめこ汁

碓氷峠(左の旧道へ)
お腹も満足したところで出発。松井田市を過ぎコース最大の難関、碓氷峠へ。バイパスは上信越道ができたので以前程でも無いが車の交通量が多いし、自転車で走るには危険で決して走り易くない道である。長閑な旧道を行く事にした。
それ程急な上りも無く平均勾配4・5%くらいだと思った。車も殆ど走らないし蝉の声と木漏れ日の中ひたすら上って行くのも快感だ。暫く荒い息づかいで上って行く。正面の「長野県」の標識を見ると頂上。少し下って軽井沢に到着。10時40分。GPSの高度計は950mだった。

碓氷峠

長野県の看板を見ると軽井沢
涼しい筈の軽井沢は晴れて碓氷峠を上って来たせいも有り暑かった。
水を使い果たし自販機でコーラとエネルギードリンクを買い、歩道のベンチで休みながら飲み干す。更に補給の分をセットして観光客で賑わう軽井沢を出発。
暫く走り、小諸市あたりで右膝の内側に痛みを感じ始める。徐々に強くなってくるので今月末の乗鞍ヒルクライムの事も気になり早めに対処しようと思い。ドラッグストアーを捜し液体タイプ薬を買って塗る。

軽井沢駅

軽井沢で補給中
18号は軽井沢から上田市まで緩く下っている。18号を千曲川の流れと併走しながら走る。夏空に千曲川のせせらぎを感じながら走っているのが心地よく、疲れを忘れさせてくれる。
時間を見るとそろそろ補給の時間。ゆっくりお昼でも食べたいと思い、せっかくなら信州蕎麦と言う事で美味しそうな(外観で判断するしかないな…)お蕎麦屋さんを捜しながら走る。がなかなか閑静な作りのお蕎麦屋さんが無い。その代わりといってはラーメン屋さんの多いのにはビックリする。ブームのせいなんだろうかラーメン屋さんには悪いがちょっと寂しく思えた。そう考えていると佇まいの良い(閑静な?)お蕎麦屋さん発見。早速ざる蕎麦を一人前注文した。なかなか美味でした。

小諸で薬を買う

信越線に沿って走る18号
1時間程走ると雲行きが怪しくなってくる。後ろから雨雲がやってくる感じである。追いかけっこしてる気分になり、なんとか捕まらないように頑張って走るが無駄な抵抗。大粒な雨が激しく降ってくる。雲の様子から通り雨と思うので雨宿りをする事に決める。10分程で小降りになり出発。気が付くと靴が濡れてる。帰りの履き替え用のサンダルを持たずに出たのを後悔した。誤算…


なかなか風情の有る蕎麦屋さん

千曲川の流れと併走
雲は多いながらまた晴れ間も出て、幸い走ってる事で靴が乾いて来た。更埴市を過ぎ長野市に向かう。ただひたすら走る。長野市では18号通称アップル街道、道路端に果物直販の店並が続く。止まって覗いて補給として戴くこうかとも思ったが、考えるとそれ程時間に余裕が有る訳でもない。残念だが通り過ぎる事にした。ここから直江津まで大凡60km。

補給(お米も自販機で)

上田市
長野市から信濃町までは緩く上っている。交通量は少なく走り易いけれど、カーブが多く、上っていくので結構辛い。まして膝の痛みが強くなってくるで不安になってくる。11日後の乗鞍ヒルクライムの事が再度脳裏をよぎる。無理は禁物。とにかくゆっくりで良いから最後の緩く長い上りを妙高まで頑張ればあとは下り… と思い、まだ元気な左脚を頼りに走る。

黒雲に追いつかれ大粒の雨が

大粒の雨に堪らず雨宿り
このころになると気持ちは陽が有るうちに到着できるか… なんて事ばかりを考えて走るようになる。とにかく水分だけはしっかりと補給して走った。
17時過ぎ野尻湖通過。夕方のなので野尻湖も18号から微かにしか望めない。
しかしここからは緩い下りだ。残り大凡40km。あと少し!気持ちを奮い立たせるが、40kmと言えばまだ2時間も走り続ける距離。日没に間に合うか微妙なところだ。
妙高からの18号は畑の中を一直線で、車は結構なスピードで追い越して行くが道幅も有り比較的走り易い。

長野市

信濃町
行けども行けども、周りの景色から山の姿が消えていかない。このままで海に出るのか不安にもなる。もう車のスモールライトが光る時間になってきた。いろいろと考える余裕もなくただただ目的地向かって走るだけ。
上越市に入るとスーパー銭湯やレストラン等が有るショッピングセンターが見えてくる。直江津にも有ると助かるが…
18号の道路案内標識には「直江津」の文字が出てこない。「糸魚川」と「長岡」で有る。正面の「直江津」の文字がいつになっても出てこないので不安になる。
周りの景色が見えにくくなってきた頃、最後の補給にコンビニに入る。店員さんに直江津の方向を訪ねる。間違いなく真っ直ぐ!あともう少し。
車のテールライトを見ながらまだほんのりと明るさを残してる空の下、ひたすら走る。暫く走ると街並みが見えてくる。正面の交通標識に「直江津港」の文字が!到着!無事に達成した。

野尻湖を臨む

直江津駅
到着し、直江津駅を探して、一度迷うが無事に辿り着く。直江津は思ったよりも閑散とした駅でした。
先ずは帰りの切符を確保する事に。夜行列車で金沢発12時23分直江津着の上野行き夜行列車、座席指定の切符を買った。到着時間がもう1時間早ければ新幹線でその日帰りも選択できたが、この時間だと夜行か一泊して朝帰るかのどちらか。結局夜行列車で寝て帰る事にした。

直江津駅にて

自転車を輪行袋に納める
直江津はゆっくりできる所も少なく、捜し当てたMOSバーガーで夕飯を摂る。ゆっくりと1時間半を潰す。9時になって雨が降り出した。MOSバーガーを出て駅に向かう。駅のトイレで身体を拭き、着替える。上越まで戻ってスーパー銭湯なんてのも考えたが、雨の中を走る事を思うと諦めて、わびしく帰り支度をした。
自転車を輪行袋に詰め、エアコンの効いた待合室でテレビ、MP3プレーヤーで過ごす。
11時になると駅員さんが来てテレビを消されてしまった。ウトウトしていると12時になり、ホームへ下りる。
夜行列車では空いていて2つの座席を使って横になって帰れると思ったが大誤算だった。まだ夏の帰省帰りの客で満員。仕方なく、車両の連結部に自転車を置き、座席へ。小さくなってウトウトしながら夜行電車に揺られて帰りました。
大宮に着く頃にはすっかり明るくなって、6時過ぎに上野到着。山手線・総武線で新小岩まで乗り継ぎ、新小岩駅を出た所で自転車を組み立てた。
いつも輪行でまた組み立てをしてると珍しいのか、良く人に声をかけられる、やはり暇そうな(失礼)男性に声をかけられた。疲れてる事でいい加減な返事をしたいところだが、自転車の社会的環境に貢献すると思い(偉そう…)丁寧に対応した。駅前のロータリーで記念撮影して出発。なんとなく満足感が溢れて気分が良かった。
家に帰り着いたのが7時過ぎ。真夏の短くて長い旅行は終わりました。
(完)

朝6時上野駅に到着

新小岩駅

走行距離 走行時間(休憩含む) 実走時間 平均速度
320km 18時間 14時間 23km/h