9王、行ってきました。
 


今回は、念願だったサイクルトレインで知り合った同じダウンヒル好きのS悟君といっしょの王滝です。
彼は富士見アドベンチャーで年代別3位になったこともあるツワモノ?
だそうで、いよいよその本領を発揮してもらいたいところです。

それに今回、ノリさんも参戦することになりました。
ノリさん、毎年、一番の目標の乗鞍ヒルクライムに落選していたところ、
王滝が追加募集していたので、MTBも持っていないのに申し込みしてしまったようです。
結局、新しいMTBを買うほどの動機が持てないまま当日が迫り私の決戦マシンを
貸し出しすることになりました。

で、私は此処のところ評判になっている29erで走って見るべく用意したJAMISの29erで本番に臨むことになりました。
が、このJAMIS、DORAGON29、サイズこそ15インチですが、Fフォークのストロークは100ミリでおまけにヘッドチューブが意外に長く、ハンドルバーの位置が低くならず、シートポジションからするとどうも上体がアップライトになりすぎで、自分のポジションが取れず不安を残す状態でした。

不安といえば、この季節、メーカー各社の発表展示会が目白押しで思うように練習できず、体調がいまいちなのも不安です。
9月の王滝は初めて… 5月の時計回りよりタイムが上がるそうです。でも不安材料があるのでどうでしょうか?

半時計周りの9王はいきなり舗装路の登りで始まるので、自分としてはちょっとめげるなぁ…
でもOFFに入ると徐々に高度を上げていくという感じでしょうか、DORAGON29もOFFの登りは悪くない感じです。
淡々と登れます。ポジション調整の為つけたスペシャライズドのオーバーエンドというバーエンドが良い感じです。

王滝、5月も感じたのですが、第一チェックポイントまでが、長い長い!まだかな、まだかな?です。
自分のペースを守るため、一緒にスタートした、S悟君、ノリさん、それに今回、登りスペシャリストのI君(ノリさんが紹介しています。)らは、もう見えません。
でもまずまずのペースで進みます。下りに入ると俄然、水を得た魚のように前を走るライダーを襲い掛かるように次々に交わしていきます。

かなり抜いたなというところで、今度は登りに入ります。
最初に出場した時には、下りで抜いても登りに入ったとたんに、抜き返されたのですが
今回は何とかついていきます。時々、ロードレーサーの走行みたいに一列棒状で登ったりします。今回、何回かそういう状態になりました。
ロードの時と同じように最後尾に付いていると段々バラけてきて、いつの間にか自分が先頭になって、後ろが切れています。ロードではそんなことは起こらないなぁ・・・
調子悪くないかもと思ったりもしますが、いつも事ですが、登りを攻めているという感じはしません。
登りにヤラレテルという感じです。

が、今回は準備したシマノのダイナシスという10sを装備したので、ギヤはあまっています。
さて、今回、順調かな?と思い始めたのもつかの間、第二チェックポイントを過ぎたころから不運が始まったのです。

DORAGON29は実はホィールがとても重いのでした。で、王滝対策にNO TUBE という軽いチューブレス用のホィールに、これまた軽〜いS-WORKSの2BLISというタイヤでなんと1.3キロの軽量化に成功したのです。

筑波での試走もクリアしたので不安は持っていませんでした。でも、フルサスバイクと違ってハードテールはリアタイヤの跳ね具合がやはり問題だったようです。
 確かにリアタイヤが尖った岩に乗ったかな?って一瞬はあったんですが… 
どうもリムのゴツゴツ当たるような感じがして、ヨシッ!空気圧を上げようと最初のストップです。(もちろんCPでの補給以外のですが)
小さいポンプなのでかなりの回数ポンピングしますが、あまり上がらないので、とりあえずもう少し走ることに…

でも、やっぱりこれじゃやばいかなと、予備で持っているチューブを入れることにして2回目のストップ、苦労してチューブを入れます。また、かなりの回数ポンピング。
これでいいだろうと気を取り直して走りだします。
ところが一キロも行かぬうちに下りに入った途端、リム打ちだぁ!
そんなぁ!と思ったところで、起こった現実に打ちのめされても仕様がないので残りのもう一本のチューブに交換。自転車屋なので、チューブを交換は訳もないけどポンピングが大変!前回はすぐにリム打ちだったので、空気圧を余分に上げないとと、もう千回くらいポンピングしたろうか?後ろからきた何十人もライダーが傍らを通り過ぎて行く・・・「頑張って!」と声を掛けてくれる人もいる。

さあ、今度は大丈夫!これからは遅れ分取り戻さなくてはと、走りだす。が!
お察しの通り、2度ある事は三度ある!! 2キロも行かぬ内にまたしてもリム打ちだ!!
もうチューブはない!ああ!このリムはチューブドに向いていないんだぁと今気づいてもどう仕様もない。何たる無力感! 
そうだ!まだパッチがあるとパンク修理に取り掛かる。案の定チューブにはリム打ちの特徴で2箇所に穴のあくスネークバイト、一縷の望みを託してパッチを張っては見るものの、やはり徒労に終わる。
通り過ぎるライダーが「またぁ??」と言われる。トホホだ。ここは何処?だろ・・・さっき第三CPは過ぎたっけと 道端のすすきが目に入る「どうしよう?」

王滝関連のブログで目にした、やはり何回もパンクに見舞われた人のこと、ふと思い浮かぶ。あるんだなぁこんな事!
思い悩んでも仕方がない、前に行かなくちゃと気を取り直して、押し始める。
でも、残り10キロ以上もある現実、ヨシっ!パンクのまま乗ろう!
リムやタイヤは仕様がない。登りも下りもである。登りはペースが出ない!
下りはなるべく重心を前に掛けながら行く。コーナーはドリフトだ!ダウンヒルの経験が役に立ってる。

業界人が気づいて、「高等テクニックですね!」と声を掛けて行く。
 沢山のライダーが見兼ねて、「チューブ、有りますよ」と言ってくれる。
そのたびに「すみません、29インチなんです。有難う」と返す。皆、良い奴です。
完走できるんだろうか?と不安が頭をよぎる。
これが最後の登りだろうか?と思いつつ痛む膝をかばいつつ登ると29erのライダーが通る。「もうちょっとで下りだけど、どうします?チューブ有るけど。」と、わぁっ!まだ、ツキがある!有難うって頂く。

今度こそパンクしないぞ!ってしつこくポンピング!でもこのチューブ、自分の予備のチューブよりやや薄い。で、余計に慎重に空気いれて出発!
よし、下りに入っても何とか大丈夫。祈るような気持ちで下る。
こんどは3キロほど持ったけど、やはり祈りは空しくリム打ちが起こってしまった!
ああ!まるでヘミングウェイの老人と海か?
腹を括るしかない、幸いなんとか完走できるタイムだ!完走を目指して、負けるわけには行かない、頑張るしかないとひたすらゴールを目指した。
ゴールだ!終わった!

長い長い戦いは終わったんだ!9時間半くらいだったと思う。
5月、初めて完走を果たした時ほどの感激はなかった。
がたごとリアホィールを走らせ、松原スポーツ公園に向かう。
まったく人生みたいないろんなことがあったなぁ。充実感はやはり、あったな。
負けなかったものなぁ。これが僕の9王でした。

駅長